
今まで、植物工場では太陽の光の代わりに、主に発光ダイオード(LED)という人工的な光を使って植物を育ててきました。しかし、LEDの光は少し広い範囲の色(波長)が出てしまうため、植物が光のエネルギーをすべて使い切れないという課題がありました。
そこで研究チームは、赤色レーザーダイオード(LD)という光に注目しました。この赤色レーザーダイオードの特徴は、光の色の幅(波長帯)が非常に狭く、とても正確な光を出せることです。
植物の葉には、光を吸収して光合成を行う「クロロフィル」という緑の色素がありますが、赤色レーザーダイオードは、このクロロフィルが最も効率よくエネルギーに変えられる、赤い光をメインで出すことができます。実験では、この赤色レーザーダイオードの光を使うと、植物の光合成のスピードが、従来のLEDよりも約19%もアップし、成長が大きく促進されました。例えば、重さは1.75倍、葉の面積は2.10倍にも大きくなりました。さらに、植物に光によるダメージ(光阻害や黄化)がほとんど見られないことも分かりました。
赤色レーザーダイオードは、小型でエネルギー効率も良いため、天気に左右されない室内や、将来の宇宙基地での食料生産など、限られた場所での農業を支える「次世代の光源」として強く期待されています。
☑️レーザーダイオード(LD)
レーザーダイオード(LD)は、電気を使うと光を出す小さな部品です。この光の最大の特徴は、光の「色(波長)」の幅がとても狭いということです。植物が光合成を行う際、葉の中にあるクロロフィルという色素が光を吸収しますが、LDは、クロロフィルが最も効率よくエネルギーに変えられる色を、ピンポイントで正確に届けることができます。そのため、植物の光合成を最大限に高め、成長を速くするために使われる未来の光源として注目されています。
☑️発光ダイオード(LED)
発光ダイオード(LED)は、電気を使って光る小さな部品です。現在、家庭の照明や信号機など、私たちの周りのいろいろな場所で使われています。植物工場でも、これまで太陽光の代わりに人工の光として最もよく使われてきました。しかし、LDと比べると、LEDの光は色の幅(波長帯)が少し広く、植物が光合成に使えるエネルギーをすべて効率よく使うのが難しいことが今回の研究で分かりました。
●参照元:
・「レーザーの光で育てる未来の野菜」 ― 赤色レーザーダイオードが拓く次世代植物工場の光戦略 ― 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部
