小さな研究者たちの発想のうらがわに迫る「第13回いたばしじゆう研究作品展/コンテスト」

12月13日(土)、板橋いたばしりつきょういく学館がくかんで「第13回いたばしじゆう研究作品コンテスト」の表彰ひょうしょうしきが行われました。
このコンテストには、論文ろんぶんやレポートだけでなく、標本ひょうほんけいじゅつ作品などさいな形で表現された研究が集まりました。科学・技術・工学こうがくげいじゅつ・数学など幅広い分野から171件もの応募があり、その中でも特に独創的どくそうてきな作品が表彰されました。

本当に「自由」な研究

このコンテストのとくちょうは、テーマが本当に「自由」であること。
「自由研究といえば理科!」というイメージを離れ、子どもたちが心から「やりたい!」と思ったテーマで挑戦しています。

割れた磁石をまた使えるように復活させたり… トイレとスマホの汚さを調べたり…
可愛いって何だ?を
追及ついきゅうしたり… ゴキブリを可愛くデコレーションしたり…

これって何だろう。
本当はどうなんだろう。

そんな、日常の中でほうしがちな小さな疑問を、とことん追求した研究がたくさんありました。

研究の「背景」まで展示

受賞作品は、2026年1月中旬まで板橋区立教育科学館や板橋区役所いたばしくやくしょ内でてんされています。
展示ではせいだけでなく、研究対象との出会いやひらめき、楽しかったことや大変だったことなど、研究の背景はいけいにあるさまざまな要素ようそが「見える化」された展示になっています。
研究者の表情、ふん、性格などを示すことで、より主体的に作品を鑑賞かんしょうできます。

直接想いを伝える「ギャラリートーク」

表彰式に先立ち、展示場では受賞者じゅしょうしゃによる「ギャラリートーク」が行われました。受賞者は自分の研究に込めた想いや成果を直接語り、展示されている標本やりょうを活用しながら発表しました。

会場には多くの来場者らいじょうしゃが集まり、研究者を囲むようにして耳を傾けていました。発表者は緊張きんちょうしながらも堂々と説明し、研究へのねつが伝わる時間となりました。

受賞者たちは自分の研究を発表するだけでなく、他の人の研究にも強い関心を示していました。
展示されているサンプルや、実際に研究で使われた道具に触らせてもらったり、じっと覗き込んだりする姿があちこちで見られ、研究者同士が互いに刺激を受け合う様子が印象的いんしょうてきでした。

年末年始の土日にも、一部の受賞者が会場に来場し、研究について直接話を聞くことができます。
各受賞者の来場予定は、板橋区立教育科学館の公式こうしきサイトから確認できます。
https://www.itbs-sem.jp/exhibition/special/2025specialexhibition/

「板橋区からノーベル賞」を目指して

表彰式では、受賞者が改めてステージ上で自分の研究への思いを話しました。
研究の成果だけでなく、これからの夢や目標についても語っていて、その姿はとても堂々としていました。また、しん委員特別賞では、審査委員がその研究を選んだ理由や、将来への期待などを語りかける場面もありました。

板橋区教育委員会の長沼ながぬま教育長による全体こうひょうでは、今年ノーベル賞を受賞した日本人研究者(生理学せいりがくがくしょうの大阪大学・坂口さかぐちもん氏、化学賞の京都大学・北川きたがわすすむ氏)が口をそろえて語った「基礎きそ研究けんきゅうをぜひ大事にしてください」という言葉を紹介しながら、次のようなお話がありました。

基礎研究は地道で、結果が出ないかもしれない。しかし、その可能性にかけて、長い時間をかけて取り組んでいく。
すぐ結果を求めがちな私たちですが、長い年月ねんげつをかけた研究が社会の役に立ち、ノーベル賞という形でむすぶのだと、改めて感じました。
今日の皆さんのような研究を大切にしながら進んでいく、そういう板橋でありたいと強く思いました。

また、令和8年から板橋区教育委員会がかかげる「MIRAI SCHOOL いたばし」にれ、熱い想いで締めくくりました。

板橋区からノーベル賞を、という思いを持っています。これから区長と一緒に、何ができるかを検討していきたいと考えています。この中からノーベル賞受賞者が生まれるかもしれません。
私たちは夢を持ち、基礎研究を大事にしながら育てていける板橋区にしていきたいと思っています。

「自由研究」と聞くと夏休みの宿題を思い浮かべる人も多いかもしれません。ですが、このコンテストでは“宿題”を超えて、自分の好奇心を形にする場になっています。
板橋から生まれるユニークな研究は、未来の科学者やクリエイターの第一歩になるかもしれません。

審査委員インタビュー:板橋区立教育科学館 館長 清水 輝大 氏

コンテストを開催するにあたっての想い

イベントは大きく分けて「コンテスト」と「画展かくてん」の二つがあります。
一つは応募する子どもたちに向けたもの、もう一つは展覧会てんらんかいを訪れる大人や一般の来場者に向けたものです。

まず子どもたちに対してですが、昨年度からテーマの幅を大きく広げました。従来じゅうらい「自由研究」と聞いて思い浮かべる理科実験や科学的テーマから一歩離れ、子どもたちが本当に「やりたい!」と思うテーマに挑戦してもらうことを強く意識しています。

実際に応募された作品には、「ゴキブリをデコレーションしてみる作品」や「可愛いとは何かをひたすら考える作品」など、ユニークなものが数多くありました。

保護者の方も、子どもがやろうと決めたことを全面的に承認しょうにんし、フォローしてくださっている様子が見え、とても良い関係性が感じられました。

また、一般の来場者の皆さんに対しては、子どもたちが純粋じゅんすいな気持ちで抱く疑問や関心を信じ、それを応援する姿勢を持っていただきたいと思っています。

子どもたちのエネルギーは、単なる「子どもだまし」の結論ではなく、大人が見ても「すごい!」と思える成果を生み出す力があります。それは教育的な意義にとどまらず、社会を変えてしまうような価値を持つものだということも伝えたいのです。

科学館としても、光学こうがくや科学的探究たんきゅうは純粋な好奇心や感受性かんじゅせいから始まるものだと真摯に受け止め、企画を作り直しました。

今回の応募内容全体を見ての感想

今年度の応募総数は171作品。テーマは非常に多岐たきにわたり、幅広い分野から集まった印象です。

受賞作品だけでなく、すべての応募作品に強い思いが込められていました。本気で自信を持ってやりきったものもあれば、途中でせつしてしまったものもあると思います。しかし、どの作品からも「やろう」と思った気持ちの強さが伝わってきました。

子ども自身が「面白い!」と思っていることは、必ず面白いものです。だからこそ、自信を持って来年度以降も挑戦してほしいと思います。

今後チャレンジする小・中学生や保護者へのメッセージ

私たちが一番大事にしているのは、普段の身の回りに探究のきっかけとなる「種」がたくさん潜んでいるということです。

意識していないと見過ごしてしまうようなさいなものでも、自分自身は必ず反応しているはずです。その反応に気づくことが大切です。

例えば、通学路にも500万個くらい面白いポイントがあるはずです。ぜひそれを見逃さずに見つけてもらいたいと思います。

▼第13回いたばしじゆう研究コンテスト受賞作品一覧

 タイトル学校・学年・名前
最優秀賞割れた磁石の復活大作戦!板橋区立高島第六小学校4年
佐藤穂実
優秀賞スマホVSトイレどっちがきたない!?板橋区立志村坂下小学校4年
伊平大祐
地域教育力賞ゴキブリってキモい?板橋区立板橋第七小学校 3年
三ツ矢優理
審査委員特別賞野菜・果物・草木染めの実験板橋区立上板橋小学校6年
坂口大祐
審査委員特別賞ぼくの熱中症大図鑑板橋区立志村第一小学校4年
木村颯汰
審査委員特別賞瑠璃をはっ見!板橋区立緑小学校2年
安濟瑠璃
審査委員特別賞おおきなかぶがぬけたあと板橋区立板橋第六小学校1年
伊藤新奈
審査委員特別賞かわいいとはなにか?板橋区立板橋第一小学校1年
手塚巴沙
審査委員特別賞まんがのめをみてけんきゅうしてみよう板橋区立北前野小学校1年
横尾陽莉
奨励賞タコのすべて板橋区立常盤台小学校3年
伊藤理沙
奨励賞夏の夜空に「きぼう」を見つけに行こう!板橋区立赤塚小学校3年
若松詩
奨励賞みんなすき?花のヒミツ板橋区立常盤台小学校2年
青木夕真
奨励賞ぼくのつう学ろでやく草さがし~夏バージョン~板橋区立赤塚小学校2年
坂本明俊
奨励賞オリジナルのミニトマトパックを考える板橋区立板橋第六小学校2年
藤井明理
奨励賞赤ダニと白いカイガラムシから朝がおをまもれ!板橋区立蓮根小学校1年
佐々木優奈
奨励賞どうしていんせきがおちてきたのか板橋区立常盤台小学校1年
寺岡源
奨励賞いろのひみつ板橋区立富士見台小学校1年
山田和佳

イベント概要

名称:企画展「第13回いたばしじゆう研究作品展」
https://www.itbs-sem.jp/exhibition/special/2025specialexhibition/
主催:板橋区立教育科学館
入場料:無料

第1期

日程:2025年12月7日(日)~2026年1月11日(日)
会場:板橋区立教育科学館館内各所
時間:9:00~16:30(地下展示室は16:00まで)
休館日:毎週月曜日、年末年始(12月29日(月)~1月3日(土))
※ただし1月5日(月)は開館

第2期

日程:2026年1月13日(火)~2026年1月16日(金)
会場:板橋区役所北館1階イベントスクエア
時間:板橋区本庁開庁日程に準じます。
休館日:板橋区本庁開庁日程に準じます。
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/kusei/chosha/1043016/1043099/1042903.html