
東北大学などの研究グループが、燃料を使わずにレーザーの力だけで飛ぶロケットの打ち上げ実験に成功しました。これは、今のロケットのように大量の燃料を積まなくても宇宙に行けるため、打ち上げにかかる費用を大きく下げることができる新しい方法として注目されています。
これまでのレーザー推進ロケットは、地上からまっすぐ上に光を当てても、ロケットがレーザーの光の軸から外れてしまい、安定して飛ぶことが難しいという大きな問題がありました。まるで、指の上でホウキをまっすぐに立て続けるのと同じくらい難しいのです。
研究グループは、この課題を乗り越えるために二つの新しい技術を開発しました。
一つ目は、機体そのものに工夫を凝らした「複数放物面レーザー推進機」です。このロケットには「カウル」という特別なリング状の部品が付いています。もしロケットがレーザーから少しずれても、レーザーがカウルの内側に当たることで、自動的に力が働いてロケットを元の中心軸に戻す仕組みになっています。これにより、積極的に操作しなくても姿勢が自動で補正されます(受動的制御)。
二つ目は、「レーザートラッキングシステム」という技術です。これは、カメラでロケットの動きをリアルタイムで追いかけ、動くロケットに合わせてレーザーの照射位置を調整し、推進エネルギーを途切れなく与え続ける仕組みです(能動的制御)。この追尾システムで、継続的に推力(前に進む力)を発生させられることが世界で初めて実証されました。
この新しいロケット(機体全長約15ミリメートル)は、実験室でその7倍以上となる高度110ミリメートルまで自由に浮き上がることに成功しました。研究グループは、今後はもっと強いレーザーを使い、高度100キロメートル以上の宇宙空間到達を目指します。この技術が確立されれば、将来、より多くの人々が宇宙へ旅行に行ける未来が訪れるかもしれません。
☑️レーザー推進
レーザー推進とは、飛行機や宇宙船を動かす方法のひとつで、外から送られてくる強力なレーザー光のエネルギーを使って進みます。船の中に重い燃料を積まなくて済むので、船をとても軽くできるのが特徴です。レーザーで推進剤や空気を熱して膨らませ、その力で進む方法(熱による推進)や、光が物を押す力(光圧)を利用して、大きな帆(ソーラーセイル)を押して進む方法が考えられています。将来、遠い星へ行く宇宙船の動力源として期待されています。
☑️カウル
カウルは、飛行機やオートバイのエンジンや車体を覆っている部品や構造のことです。カウリングやフェアリングとも呼ばれます。主な目的は、走るときに当たる風の抵抗(空気抵抗)を減らすことです。風の流れをきれいに整えることで、より速く進めるようになります。オートバイの場合、運転する人を走行中の風から守る役割もあり、車体全体を覆う「フルカウル」など様々な形があります。飛行機では、エンジンを冷やす空気の流れを整える効果もあります。
●参照元:
・燃料不要ロケットの打ち上げ実証に成功 ─ レーザーで推進エネルギーを継続的に供給 ─ 東北大学
